駅はまちの玄関口だといいます。だから、日本全国の駅舎が様々なデザインによって小奇麗に建て替えられたりします。良くも悪くも。一方で最近では、「えきなかショッピング」が盛んになり、駅の中にいろいろなお店が作られるようになりました。お客をまちに出さずに駅に抱え込むなんて、JRはいったい何を考えているのでしょう。
福島県桑折(こおり)町。今は小さいけれども、かつて奥州街道と羽州街道が分岐する交通の要衝に位置する宿場町として栄えました。まちのそこかしこに、風情を感じることができます。 その玄関口、JR桑折駅は、福島駅から東北本線で仙台方面に向かって3つ目の駅です。開業は明治20(1887)年12月15日。今は一日750人くらいの人が乗降しています。(2004年一日平均757人)。 福島から電車に揺られ、降り立ったのは2番線ホーム。ホームに降り立つと、線路をはさんだ1番線側に立つ駅舎に目を惹かれます。昭和15年の駅舎が改修されながらもそのままの姿で残されています。 この駅を守るのはたった1人の駅員さん。2番線から陸橋を渡って改札を出て行くお客さんたちに時に声をかけながら、切符を受け取り、定期を持った学生さんを見送ります。 電車を降りて写真を撮っていた僕は、他のお客さんの流れから大きく遅れてしまいました。僕が陸橋を渡ろうと階段を上りかけたとき、背後には小さな子供を連れた若いお母さんがいるだけでした。 さて、陸橋を渡り、改札口の方へ行こうとすると、なにやら慌てた様子で駅員さんがこちらに向かってきます。「切符いただきますね~」と僕の方に走りよってくるので、切符を渡すと、駅員さんはそのまま2番線のほうへ陸橋の階段を昇ろうとしています。そして、僕のほうを振り返って一言。「慌しくてごめんなさいね。乳母車が。。。」 なるほど。そういえば僕の後ろにいたお母さんが連れていた子供は乳母車に乗っていたっけ。乳母車を運ぶのを手伝いにいったんだ。それに気づかなかった自分を恥じるとともに、駅員さんの心にちょっと感動したのでした。 駅っていうのはこうでなくっちゃ。 住んでいる人にとっては、駅は一日の仕事の始まりと終わりの場所でしょう。 旅人にとってみたら、旅の始まりで得る体験は、そのままその町の印象にもつながるものです。風情のある駅舎に駅員さんの心。古い駅を大切に守る町の人の心、駅員さんの行動に表れる町の人の心。。。一方、駅は旅の終わりの場でもあります。旅の思い出に最後の1ページを加える場所。 なんだかとっても大事なことを、どんどん失ってはいませんか? 昭和15年築の桑折駅舎 駅前広場はとてもきれいに。
by mitsufumi_okada
| 2005-10-16 14:49
| まちづくり
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